家づくりの事を調べだしたら「窓の断熱」が大事って聞いたけど、何が理由なの?
家づくりってたくさん迷うことがありますよね、色々迷って悩んで、というのも大事ですが
選択を間違ってはいけない項目があります。
それが「窓の断熱」です。
窓の断熱が大事な理由
- 窓の断熱は健康にとって重要だから
- 窓の断熱は快適な生活にとって重要だから
- 窓の断熱は省エネ住宅にとって重要だから
という3つが結論となります。
1級建築士、1級施工管理技士の資格を持ち、15年以上住宅メーカーで働き、延べ1000棟以上を担当してきた私が詳しく解説いたします。
「窓の断熱」って聞き慣れない言葉だと思います。
壁には壁の断熱材、床には床の断熱材、天井には天井の断熱材を入れますが、
窓は断熱材を入れる場所がありません。
じゃあ「窓断熱」って一体何なのか、というと、「断熱性の良い窓」のことです。
夏場、窓から入ってくる熱の量は家全体の70%
冬場、窓から逃げていく熱の量は家全体の50%と言われています。
この記事を読んでいただくと
窓の断熱性を上げると健康、快適、省エネにどう影響するのかが分かり、
家づくりってまずは窓が大事なのね〜
という理由がわかります。
順番に説明していきましょう
窓の断熱性が健康に影響を与える
まずはこれです。
みなさん、家と健康って関係が深い、って知ってましたか?
あまり知られてませんが、窓の断熱性の低い家に住んでると健康リスクが高くなります。
理由は
- 窓の断熱性が悪いと部屋間の温度差が大きくヒートショックにつながる
- 窓の断熱性が悪いと結露が発生しカビ、ダニの発生源になるから
詳しく説明していきます
部屋間の大きい温度差がヒートショックにつながる
ヒートショックという言葉を知っているでしょうか?
ヒートショックとは、冬場に暖かいリビングから寒い部屋(浴室やトイレ、洗面)に移動した際、
急激な気温の変化により血圧が上下し心臓に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす、というものです。
このようなヒートショックを起因とする浴室での死亡者数は年間1万4000人程だと言われています。
2020年の交通事故での死亡者数がおよそ3000人程なので、ヒートショックによる死亡者数の多さがよくわかっていただけると思います。
寒い家にいることは車を運転するよりも4倍死亡リスクがある、ということです。
では、なぜヒートショックと窓が関係しているのか、ですね。
トイレ、洗面は部屋の大きさに対する窓の割合が大きい場所です。
先程お伝えしたように、冬場に窓から逃げていく熱量は家全体の50%です。
そのため、窓からドンドン家の熱が逃げていくので暖かい部屋との温度差が大きくなります。
性能が低く、断熱が出来ていない窓というのは家の中でポッカリ穴が空いているようなものです。
どれだけ家の中を暖めようと思っても、穴が空いていたらそこからドンドン熱は逃げていきますよね。
大事なのは窓の断熱性を、壁と同等程度まで上げる、ということです。
窓の断熱性は U値(ユーチ)で表されます。U値の単位は【W/㎡・K】です。
U値は低いほど断熱性がよく、熱を通しにくく性能が良い窓ということになります。
窓のU値の幅はおおよそ6.0W/㎡・Kから 1.0W/㎡・Kを切るものまでピンきりです。
窓で何を選ぶかで6倍性能が変わる、ということです。
結露が発生し、カビ、ダニの発生源になる
健康に影響を与える2つ目がこれです。
みなさん、結露と聞いてピンときますでしょうか。
冬場に窓ガラスにつく水滴のことやんね、知ってるわよ
そうです、まさにそのとおり、外と中の温度差が大きい時、冷たい箇所に発生する水滴です。
これが窓ガラスだけに発生しているのなら拭き取ればいいだけです。
ただ、窓の枠にも発生しているようであれば見えている部分だけでなく家の内部にも結露が発生しているかもしれません。
窓の性能が悪いと冬場、室内側の窓付近の温度が下がり、暖かく湿度を持った空気が近くにあると結露が発生します。
この場合、窓サッシの枠に結露が発生していると、枠を止めているアングルと呼ばれる部材も結露が発生している可能性が高いです。
アングルは見えない部分の木材と連結されているので、その木材が湿り、カビが発生します。
カビが発生するとそれを好物とするダニも発生します。
またダニは移動することでカビの胞子を撒き散らすので相乗効果でドンドン両者とも増えていきます。
結露は木材を湿らせ、家の耐久性も落とします。
また、カビ、ダニの発生により健康にも影響を与えます。
窓の選択を間違えるとこうしたリスクにも直面することになります。
窓の断熱性が家の快適性に影響を与えるから
2つ目はこれです。
家の快適性とは何でしょうか?
心地の良い温度、湿度で生活出来る、ということです。
では、心地のよい温度、湿度とはどれくらいでしょう。
夏場だと 気温25度〜27度、湿度45%〜60%
冬場だと 気温18度〜22度、湿度55%〜65%
程だと言われてます。
快適性を実感するのは起きている時だけではないです。
特に家に住んでから実感する快適性は 睡眠時 です。
快適な温度、湿度環境であれば、夏場の寝苦しい夜でも快適に朝までぐっすり寝ることが可能になります。また、真冬の朝でも布団から出るのが苦痛ではなくなります。
この環境を整えようと思うと窓の性能は不可欠です。
壁の断熱材だけのことを考えても快適な空間にはなりません。
いくら壁の断熱の性能を高めても窓の性能が悪ければドンドン熱が逃げていきます
性能の悪い窓だと「窓の性能」は「壁の性能」の10分の1程度の断熱性能です。
熱は断熱性能の低い所から出入りするので、窓を弱点としないようにすることが必要です
熱帯夜にエアコンをガンガンにつけると気温は下がりますが、乾燥して喉が痛くなったりしませんか?
また、エアコンの冷風が何となく不快ではないですか?
かと言って、入眠時のみタイマー設定でエアコンをつけているとエアコンが切れたときに暑くて起きてしまう、ということも多々あると思います。
これはいずれも窓の性能を上げることである程度解消出来ます。
窓の性能を上げ、部屋全体、家全体の断熱性能をあげることで、エアコンをガンガンにつけなくても、弱運転で動かしても寝苦しくなく快適に過ごしていただけます。
窓の断熱性能を上げることで、家全体の断熱性能があがり、快適な生活にグッと近づきます。
窓の断熱性が省エネ住宅に影響を与えるから
最後、3つ目がこれです。
窓の性能を高めることで省エネにつながり、毎月の電気代を低く抑えられます
なぜなら、窓の性能をあげることで窓から出入りする熱を少なくすることが出来るからです。
冬場を例にしましょう。
U値が1.0(樹脂サッシ)の窓と、6.0の窓(アルミサッシ)を比較すると窓から逃げる熱量はアルミサッシの方が600Wも多い計算になります。
詳しい計算方法は別の記事でご説明します。
アルミサッシの家は600Wの一般的な電気ストーブをつけっぱなしにしてるけど、その熱をドンドン外に捨てている、状態です。
仮に、600Wの電気ストーブを1日に8時間、毎日つけるとすると
0.6(KW)×8(時間)×30(日)=144KWです
地域、電力会社にもよりますが、1KWで27円だとすると
27(円)×144(KW)=3888円となります。
樹脂サッシと、アルミサッシで暖房費が1ヶ月にこれだけ変わってきます。
4000円弱くらいの為に効果な樹脂サッシにするの馬鹿らしいわ〜
と思われた方もいらっしゃるでしょう。
でもこの計算はリビングに1箇所、この窓があったら、という計算です。
家で使用する部屋にはそれぞれ暖房器具がついてますよね。
寝室に仮に、1m×2mの窓があったとして、寝ている間、暖房器具を使うとすると
上記の計算でいくと、窓の大きさは半分なので300Wの熱量がアルミサッシから奪われます。
0.3(KW)×8(時間)×30(日)=72KW
72(KW)×27円=1944円です
こう考えていくと、性能の悪い窓をつければつけるほどお金を捨てているようなものです。
樹脂サッシの家とアルミサッシの家で年間6万円程電気代が変わってくるとも言われてます。
5〜6年程で樹脂サッシへの初期投資分は返ってくるのではないでしょうか?
まとめ
家づくりの最初は何から始めたらいいのか分からないものです。
そこで、【窓】を重視している住宅メーカー、工務店を選ぶという選択がいいのではないかと思います。
窓には上記のような、暮らしに欠かせない要素が十分に詰まっています。
健康で、快適に暮らせて、かつ、金銭的にもメリットがある、ということに対して真剣に取り組んでいる会社、というのは他の面でもある程度の安心が出来るのではないでしょうか?
住宅会社を選ぶスタートとしては
まず、窓のことをしっかり考えている会社で絞ってみよう〜
という発想で問題ないと思います。
住んでから後悔しても遅いのが窓です。
窓を交換するとなると通常は外壁をめくって、室内の壁もめくって、という大掛かりな工事になります。
よーく考えて家づくりをスタートすることをオススメします。
家づくりの基準 【窓】で選んでみては?