住宅購入には色んなトラブルがつきものです。
・見積もり金額が間違っていた、、、
・以前に伝えていた要望が全く図面に反映されてない、、、
・担当者との相性が悪い、、、
・後から追加費用がいっぱい上がってくる、、、
・工事中のミスが頻発、、、
こんなことがあると
ここの会社に一生に一度の住宅を任せて大丈夫かな〜。
こんなことがあると、欠陥住宅を作られそうで不安、、、。
という気持ちになるのも無理はありません。
そんな方なら一度は下記の言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
【ホームインスペクション】、【住宅診断】、【建築Gメン】
呼び名は色々ありますが、要は建築工事を第3者の立場でチェックしてくれる会社です。
ネットで色々調べてても、ホームインスペクション会社は「新築でもホームインスペクションは必要」って言うし、
住宅会社の営業からは「そんなの必要ないです」って言われるし、どっちなんやろ〜。
今回は「ホームインスペクション、頼んでみようかな〜、でも住宅会社との関係が悪くなるかな〜」とお悩みの方にホームインスペクションのメリット、デメリットをお伝えします。
1級建築士、1級施工管理技士、宅建士、インテリアコーディネーターの資格を持ち、住宅会社で15年勤務し、延べ1000棟以上のお家を担当してきた私がお伝えします。
実際に何件かホームインスペクション会社との立会いの経験をもとにお話させていただきます。
結論から言うと
住宅会社に悪いかな〜、と考える必要は全くなし。
一生の住まいに不安を感じるくらいならホームインスペクション受けましょう。
と、なります。
詳しく説明していきます。
また、家と同じように外構工事も信頼のある業者に依頼するのが失敗のない家づくりには必要です。
外構業者を選ぶのは時間も手間も掛かります。
外構業者の選び方を知りたい方は新築打ち合わせ中 外構業者はどうする?選び方に迷った時大切にすること5選【1級建築士が解説】もご覧ください。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要ホームインスペクションとは、、、 工事検査の第3者機関です。
ホームインスペクションは大きく分けて2つの機能があります
1.新築工事が心配な方に第3者の目線で工事をチェックしてくれる
2.中古住宅を購入する前に物件に不具合などないかをチェックしてくれる
この記事では私も経験がある前者 (新築工事を第3者目線で工事チェックしてくれる)
という機能としてのホームインスペクションについてお話したいと思います。
費用の相場 5万円〜50万円程度
金額の相場は大体1つの検査について5万円前後というのが多いです。
全ての検査をホームインスペクション立会いで行うと50万円程です。
メーカーや工務店にもよりますが、住宅の検査というのは
1.基礎着工時
2.基礎鉄筋が組み上がった後
3.基礎完成時
4.建て方工事完了後
5.防水工事、外部下地完了時
6.室内下地完了時
7.大工工事完了時
8.足場解体前
9.竣工(完成)検査
の9回程度、現場監督が検査をします。(竣工検査について詳しく知りたい方は完成検査(施主検査)立会い必要?をご覧ください)
この検査はどういったタイミングでされているか、というと
この検査のあとは該当箇所の確認が出来ない、というタイミングです
つまり、検査後に見えなくなってしまう箇所をチェックしてます。
例えば
・基礎鉄筋の検査後にコンクリートの流し込みをする
・防水、外部下地の検査後に外壁を貼る
・室内の下地検査後に石膏ボードを貼る
・大工工事の完了後にクロスや塗り壁などの室内の仕上げ工事に入る
と、いうような具合です。
ホームインスペクションというのはこの検査のタイミングで現場監督とは別で検査をして、不具合を見つけてくれる、というものです。
1回の検査が約5〜6万円程なので、全ての検査に立ち会ってもらうとおよそ50万円程となります。
ホームインスペクション会社にもよりますが、商品がパッケージ化されており、4回の検査で20万円、7回で30万円などで販売されていることが多いです
ホームインスペクションの検査員はどんな人?
ホームインスペクションの検査をするのに特に資格は必要ありません。
ホームインスペクターという民間資格がありますが、国家資格ではありません。
JSHIという日本ホームインスペクターズ協会というところが実施している認定試験に合格して登録することが出来る資格です。
私が過去に実際に出会ったホームインスペクターの方は皆さん建築士の資格を持ってらっしゃいました。
しっかりとしたホームインスペクション会社の方は何らかの資格を持ってらっしゃるのだと思います。
出来れば、信頼性という観点から、建築士、もしくは建築施工管理技士の資格は持っておいてほしいですね。
ホームインスペクションのメリット 3選
1000棟以上現場を担当してきた経験からしても「複数人で検査が出来る」というメリットは大きいです。
なぜかと言うと、どれだけベテランの現場監督でも1人での検査においては100点満点というのは、なかなか取れないからです。
複数人で検査をすることで、100点に近づける、ということが可能になります。
おいおーい、現場監督が100点とれへんて言ってどーすんのよ〜
という声が聞こえてきそうです。
そう思われるのも当然ですよね、詳しく説明すると
100点が狙える項目もあるけど、狙えない項目もあるよ〜(泣)
ということです。
- 接続金物の位置
- 電気スイッチ、コンセントの位置
- 窓の高さ、種類
- クロスや塗り壁の品番
- 建具の型番、寸法
- 水道排水の勾配、、、など
このあたりは100点を狙える項目です。
ここは監督の腕の見せ所です。経験をもって現場管理をすれば問題が起こりそうな所を事前に察知し、職人さんへの連絡をすることでトラブルを防ぎ、100点を取ることが出来る項目です。
これらの項目に関して不安がある、という方はホームインスペクションを利用することで、安心して家づくりを進められます。
問題は100点が取れない項目です。
それは「基準がない項目」です。
- 床の継ぎ目の段差
- クロスの継ぎ目の程度
- 建具の開閉時の重さ
- 外壁の塗り壁のムラ
- 玄関タイルの段差、、、など
要は、こういった「仕上がり」に対するものには多くの場合、基準がありません。
厳密にいうと床の傾斜には基準がありますが、とても緩い基準なので引っ掛かりようがありません。
例えば、床の傾斜に関してそのまま引用すると
3/1000未満の勾配(凹凸の少ない仕上げによる床の表面における2点(3m程度以上離れているものに限る。)の間を結ぶ直線の水平面に対する角度をいう。)の傾斜であれば構造耐力上主要な部分に瑕疵がある可能性は低い
公益財団法人 住宅紛争処理支援センター https://reference.chord.or.jp/sr/ts/rc/yuka_k.html
というような具合です。床の傾斜で3/1000を越えるような仕上がりは新築では聞いたことがありません。
もし、あなたが求めるものが「100点取れる項目」であるなら、ホームインスペクションを導入すると限りなく100点に近づけることが出来るでしょう。
でも、あなたが求めるものが「100点が取れない項目」なのだとしたら、どれだけ優秀な監督でも、ホームインスペクションでも100点は取れないかもしれません。
なぜなら100点の基準があなただからです。
誤解のないように言っておきますと、現場監督もホームインスペクションも、100点を狙いにいってます。
ただ、もしかしたら、あなたとの基準がずれている可能性がある、ということです
例としてM−1のような漫才コンテストを考えてみましょう
・漫才師は家を造る現場監督
・審査員はお客様であるあなた
漫才師は力の限り、おもしろいネタを披露しようとしますよね。
でも、審査員であるあなたは、もしかしたら全くツボに入らない、ということもあるかもしれません。これは漫才師がおもしろいのか、おもしろくないのか、ではなく、あなたの基準とあっていない、ということです。
ここでホームインスペクションが入る役割は漫才師のマネージャーです。
客観的にこうしたらおもしろくなるよ、とかアドバイスを漫才師に与えてくれます。
でも、マネージャーがアドバイスしたからってあなたがその漫才師をおもしろく思うかどうかはわかりませんよね。
要は、ホームインスペクションを採用してもあなたとホームインスペクションの基準がずれている場合、100%満足のいく家には仕上がらない、ということです。
あなたが求めているのが図面との整合性が確認できる項目なのか、それとも基準があなたにある100点が取れないかもしれない項目なのかをはっきりさせておくべきです。
ホームインスペクション会社によっては、住宅会社が通常行わないような検査をする事もあります。
例えば、、
- 建物完成時に床の傾きをレーザーレベルで測定
- 完成時に床下に潜り点検
- 完成時に屋根裏に潜り点検
などです。
実は、このあたりの検査は完成時に行っていない住宅会社がほとんどです。
各工事の施工中、完了後は確認しますが、建物の完成時点では確認しておりません。
なので、床下を潜ってみたら、断熱材が一部外れていた、という可能性はあります。
そういったことを確認してくれるホームインスペクション会社であればメリットは大きいです。
ホームインスペクションの検査員は多くの工務店、住宅メーカーの家を見てきています。
一方、工務店、住宅メーカーの現場監督は自社の家しか見てきていないことがほとんどです。
なので、ホームインスペクションの方が持っている一般的な住宅建築に関する知識は工務店、住宅メーカーの監督より豊富であることが多いです。
あなたが現場を見て、不安に思ったことを一般的なフラットな知識で答えてくれるので
何かにつけて相談したい、アドバイスがほしいという方にはメリットがあります。
ホームインスペクションのデメリット 3選
デメリットはまずはこれです。
費用が高いです。
1回の検査で5万円です。ちょっとしたオプションが追加出来るレベルです。
また、不安に思っているあなたは1回の検査では不安が募る、ということで重要な検査(基礎の鉄筋、基礎仕上がり、建て方完了、防水)を追加していくと20万円程の検査費用を払ってしまうかもしれません。
家を建てるのに数千万円払っていると麻痺してしまうかもしれませんが20万円は大きいです
安心を得るための保険料、という考え方もありますが、その分で全自動洗濯機が買えるかもしれません。よく考えましょう。
これも気にされる方多いと思います。
結論から言うと、住宅会社との関係性はあまり気にしなくて大丈夫です。
そういった気持ち(ホームインスペクションを頼もうかな〜)にさせている住宅会社に非があるのが問題です。
あなたが住宅会社に気を使う必要は全くありません。
正直、私も住宅会社に勤めている立場からするとホームインスペクションを利用されるのは気持ちの良いものではありません。
ただ、お客様の心情としてホームインスペクションに頼らなければいけない状況にしてしまったことを申し訳なく思う気持ちの方が大きいです。
また、第3者の立場で現場を見てくれることで、お客様の不安がなくなるのであれば住宅会社からしてもホームインスペクションを受けてもらった方が良い、という考え方も出来ます。
例えるなら、男女の「携帯、見せてよ問題」と似てます。
👩 「(男に対して)ちょっと、携帯見せてよ〜」
👨「(別にやましいことないけど)えっ、なんで見せなアカンの〜」
👩「いや、なんか最近あやしいな〜、と思って」
👨「あやしいことなんて何もしてないけど〜」と言って携帯を渡す。
👩「(携帯受け取って確認)ほんとやな〜、何もあやしいのないわ〜」
👨「そうやろ、安心してもらえてよかった〜」
みたいな感じです。
女性の方が、勝手に不安になっているのか、男性側に不安にさせる要因があったのかはわかりません。
ただ、携帯を見せることで不安が取り除かれるのであれば見てもらったほうがいいですよね
ホームインスペクションを利用するお客様と住宅会社の心情とはこんな感じです。(現実の「携帯見せてよ問題」は携帯見せても解決しないことも多いそうですが)
これは私の現場で実際にあった話です。
良いのか、悪いのか、是正項目が特にない、ということです。
せっかく費用払ったのに、特に問題ないって、、、。
まあ、安心を買ったと思ったらいいか!
このように思えそうなのであれば大丈夫です。
ホームインスペクションが入る現場というのは監督も職人にその旨伝えます。
そうなれば、職人も少し気合いが入る、というのはあるかもしれません。
まとめ
ホームインスペクションを頼もうかなー、と思うには何かしらの理由があると思います。
・TVで欠陥住宅を見て不安になった
・打ち合わせでミスが連発した
・営業担当の対応がいい加減
・工事担当が頼りない
理由は様々でしょうが、
一度考えてみてください。
その不安はホームインスペクションで解消されますか?
ホームインスペクションを採用するのが目的になっていて、手段を間違ってませんか?
ということです。
あなたの不安がホームインスペクションで解消されるなら迷わず採用しましょう。
一生に一度の住宅です。この先、不安を抱えて生活されるのであれば家を作っている立場の者としても悲しいです。
何より、そんな気持ちで生活するあなたも嫌ですよね。
営業担当への不満は施工業者には問題ありません、
設計担当のミスは現場管理とは別問題です。
TVの欠陥住宅は単に不安を煽る物で、あなたが一生懸命悩んで選んだ住宅会社とは無縁かもしれません。
工事担当が頼りないのであれば、工事担当を変更してもらう、工事担当の上司に付き添いしてもらう、という方法もあります。現場監督との相性が不安という方は以前に書いた記事、「あなたは大丈夫?現場監督との相性」をご覧いただけると参考になると思います。
あなたが住宅会社そのものに不信感を抱いている、
誰か他の人に現場を見てもらわないと不安でしょうがない、という場合は
迷いなくホームインスペクションを入れましょう。
そんな気持ちにさせている住宅会社の落ち度でしかありません。
場合によっては、ホームインスペクションの費用を住宅会社に負担してもらうように交渉してみてもいいかもしれません。
一生に一度の家づくりです。
家づくりの期間は長くて数年といったところですが、
家に住むのはこの先何10年と続きます。
もやもやとした気持ちを抱えて生活するには長すぎます。
後悔のない家づくりのお手伝いが出来たら幸いです。
冒頭でもお伝えしたように外構工事も含めて家づくりです。
家のことに集中しすぎて外構工事のことは疎かになってる方は多いです。
外構工事はあとからで大丈夫、と思っているといざ計画を始めるとトラブルになることも。
外構業者はなるべく早く、そして優良な業者を選ぶのが肝心です。
外構業者の選び方がわからない、という方は新築打ち合わせ中 外構業者はどうする?選び方に迷った時大切にすること5選【1級建築士が解説】をご覧ください。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要