家の新築工事の打ち合わせは、まず何から始まるかというと「建物の配置」からです。
配置を決める時にセットで決めることが多い項目、それがGL設定です。
GL設定って何?今まで聞いたことないし、そんなに重要なこと?
と、お考えの方も多いと思います。
敷地の状況によってはGL設定を甘く考えると取り返しのつかないことになります。
また、GL設定の話でよく出てくるワードに「深基礎」というものがあります。
「この土地は道路からの高低差があるので深基礎が必要かもしれませんね〜」
というセリフを設計士や営業から聞いた方も多いハズ。
またわからない言葉が出てきた、、「GL設定」、「深基礎」ちょっとめんどくさくなってきた、、、。
と、感じてしまうのも無理はないです。
「GL設定」「深基礎」のことを理解せずに工事が進んでしまうと外構工事の時に自分の思った計画が出来なくなってしまいます。
外構のおおまかな計画は新築建物の打ち合わせと並行して進めた方がいいです。
外構工事はいつから計画したらいいの?というかたは【失敗しない外構業者の選び方】後悔しない新築には外構が重要もチェックされるのをオススメします。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要私は住宅業界で現場監督として働いて15年以上になります。延べ1000棟以上のお家をご担当してきました。
1級建築士、1級施工管理技士、宅建士、インテリアコーディネーターの資格を持っております。
外構に関するトラブルって営業や設計士よりも現場監督の方が詳しいことも多いです。
なぜなら、外構工事は引き渡し前後から始まることが多いので、何かトラブルがあった時に対応するのは設計や営業ではなく現場監督であることが多いからです。
この記事をご覧いただくと、GL設定の大切さがわかり、
深基礎を選択することのメリット、デメリットがわかるようになります。
深基礎を採用する時の注意点を知りたい方は【深基礎のデメリットとは?】外構でトラブルを避ける方法を1級建築士が徹底解説も合わせてチェックしてみてください
GL設定とは? 地面の高さのことです
まずはGL設定は何か?というところですが、
簡単に言うとグランドレベルの略になります。
全然簡単になってない、、、。
グランドレベルって何?
グランドレベルとは建物が建つ地面の高さになります。
家にはコンクリートで出来た基礎部分がありますが、実際見えているのは地面から40センチ程
ですが、土に埋まっていて見えない部分があります。
基礎はGLの高さまで土で埋めなければいけません。
GL=BM+200 という高さの指示の場合はBM(ベンチマーク)から200ミリ上がったところをGLにします、ということです。
BM(ベンチマーク)とは敷地周辺の固定物でそれを高さの基準にします。
マンホール、敷地の境界杭の天端、がベンチマークとして指示されることが多いです。
GL設定を注意するべき土地の形状は?
GL設定を間違うとあとから大きなトラブルになることがあります。
GL設定を甘く見た結果
・敷地内の高低差が大きくて危険
・いつも敷地内に水が溜まってジメジメしていて不快
・見た目が悪い
というような結果になってしまいます。
下記のような土地は要注意です
1つ目はこちらです。
高台になっている土地。
道路から敷地に入るのに高低差があるような土地です。
この場合、駐車スペースを作るのにある程度、敷地の土を削る必要があります。
土を削ると敷地内に高低差が出来るのでそこにどのようにして基礎を作るかを決めます
- 通常の基礎を作って土がこぼれないように土留め(どどめ)のブロックを積む
- 深基礎を作って土がこぼれないようにする
の2択になります。どちらがいいかはこの記事の後のほうで説明します。
土地が2面以上の道路に接していると、どちらかの道路からはちょうど良いGLになっていても
もう片方の道路からは異常にGLが高い(もしくは低い)ということになりかねません。
また、どちらかの道路の傾斜がきつく坂道になっていると余計にGL設定が難しくなります。
その場合、高い方の道路にGLを設定することが多いですが、
あまりにも高くなるようであれば外構での費用が大きくなるので注意が必要です
土地の前面道路が傾斜になっている、とは坂道になっている道路に面して家を建てる、という場合です。
この場合が一番GL設定が難しいです。
基本的には土地の一番高い箇所にGLを設定します。
ただ、敷地の土の高さ状況によっては高低差のある真ん中あたりにGLを設定する場合もあります。
また、坂道の勾配の大きさによってもGL設定の位置が変わってきます。
ここでGL設定を間違うと
・敷地内に雨水が流れ込んでくる
・高低差がありすぎて車の乗り入れが難しくなる
・深基礎の範囲が多くなりすぎて費用が余分に掛かる
と、いうような事態になってしまいます。
最後は旗竿になっている土地です。
旗竿とは敷地が道路に接している面が小さく、細長い専用通路のような所を通ったあとに建物を建てるような敷地です。
旗竿の旗の部分に家が建ち、竿の部分は駐車スペースになることが多いです。
この場合注意するのはGL設定が低すぎないか、ということです。
旗竿の場合は竿の部分の距離が長いと雨水の勾配を取ることが難しく、雨水が溜まってしまいがちです
だからと言って無闇にGLを上げると整地するための土が余分に掛かるので費用が掛かります。
竿の部分で1.5%程度の勾配が確保出来るようにGLを設定すると良いでしょう。
GL設定が難しい土地の解決法
土地の高低差、前面道路の傾斜が問題の場合、解決策は2つあります
1つ目は深基礎を計画する、ということ
深基礎ってなに?
ですよね、深基礎って言われたところでイメージが沸かないですよね。
深基礎、とは地面から見えている基礎の高さが通常よりも大きい基礎です。
高低差がある土地の場合、高いところにGLを設定します、
そうすると低い土地の所の基礎は地面から離れている(空中に浮いている)状態になります
こうなってしまうと構造上好ましくないので、基礎を下に深く作るのが「深基礎」になります
狭小地など、土地の広さを有効活用したい場合に採用します。
例えば前面道路側に駐車場を計画する場合
深基礎だと土留のブロックを積まなくていいので駐車スペースを広く活用できます。
土留ブロックを積む計画と比較すると50センチ程は広く土地が使えますので
敷地の広さを有効利用したい方は是非採用するべきです。
特に、敷地内に高低差がある土地というのは実質の土地面積を有効に使えない場合が多いです。
要は、フラットな50坪の土地と、高低差のある50坪の土地では有効に使える土地の大きさが変わってきます。
というのも、高低差を解消するために玄関までのアプローチ階段の段数を増やしたり、敷地の裏側に行くための階段が必要になるからです。
デメリットは
・金額が高い(深基礎の高さ、範囲にもよりますが土留ブロックを積むよりは金額が上がることが多い)
・基礎工事が複雑になるので工期が掛かる(深基礎の高さにもよりますが2週間程工期が延びます)
・基礎の打ち継ぎが増える為、品質に少し不安がある
ということです。さらに詳しく知りたい方は【深基礎のデメリットとは?】外構でトラブルを避ける方法を1級建築士が徹底解説を確認ください。
個人的には深基礎の高さが60センチを超えるようなら基礎工事の品質、工期に注意が必要かな、というレベルです。
金額は打ち合わせの際に、深基礎にした場合の金額と土留ブロックをした場合とを比較してもらうといいと思います。
深基礎の費用の相場を知りたい方は【深基礎の費用相場を徹底解説!】 費用を安くする方法とは!?をご覧ください。
深基礎が必要かもしれない土地は、特に外構の打ち合わせも早めにしておかないと後から計画変更をしなくてはいけないことがあります。
解決策の2つ目は土留めブロックを積む、という方法です。
先程お伝えしたように高低差のある土地で基礎を作ると土地の低い側の基礎は空中に浮いた状態になります
深基礎の場合は空中に浮く箇所の基礎を深く作りましたが
土留ブロックというのは低い土地側にブロックを積み、土地の高い側の土が崩れないようにする方法です。
土留ブロックのメリットは
・深基礎と比較して金額を抑えられる(深基礎の高さによりますが)
・ブロックの形状、色など自由に選べるので外構のバリエーションが増える
実際、よほど大きな土地ではない限りはみなさん深基礎を選択されます。
上記を見ても、土留めのメリットはあまり大きくないからです。
高低差が20センチ程度であればブロック1段分なので土留めの施工も大掛かりではないですが
私の印象としてブロック1段を超える(20センチを超える)ような土地の場合は深基礎を選択
される方が多いです。
逆に、土留ブロックのデメリットは
・建物の基礎から50センチ程離したところにブロックを積むため敷地が狭くなる
・高低差が大きくなると土留ブロックが崩れる可能性もある(施工品質に注意)
・建物工事が完成してからブロックを積む必要があるため、外構工事の工期が掛かる
なんと言っても土留めを施工するデメリットは土地が狭くなることです。
家の基礎の外側にブロックを積んで土留を施工しようとすると最低でも基礎から50センチは
離した箇所にブロックを積む必要があります。
ブロックを積むことで駐車スペースが小さくなります。
深基礎であれば基礎のギリギリまで駐車スペースとして有効活用出来るので一般的な土地(60坪くらいまで)であれば深基礎を選択される方が多いです。
まとめ
外構計画というのは早めに考えておくことが重要です。
特に、今回のように敷地に高低差があったり、敷地の前面道路が坂道である場合は必須です。
ちょっとした外構計画の変更であれば、しょうがないなー、で済むかもしれませんが
高低差を考慮してないことでその後ずっと使いにくい外構になってしまいます。
・間取りをどうしようかに必死で外構の打ち合わせに気が回らない、、、
・建物の金額をどう抑えたら良いかに気を取られて外構の費用をあんまり考えてなかった、、、
というのは新築打ち合わせのあるあるです。
完璧に詳細まで外構計画をする必要はありませんが、大まかな計画とおおよその金額を早めに知っておくのは必須です。
外構業者の選び方がわからない、、、
という方は【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要をご覧ください。あなたにぴったりの外構業者の選び方を解説しております。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要後悔のない、家造りのお手伝いが出来れば幸いです。