いい土地を見つけたけど、地盤が少し弱そう、、、。地盤改良工事っていくらくらい掛かるのかな?
ようやく、いい土地を見つけたけど
- 田んぼを造成していて地盤が弱い
- 河川が近くにあって地下水位が高い
- 崖に面していて基礎下に補強が必要
という理由で地盤改良工事が必要になることがあります。
住宅を考え始めるまで地盤改良っていう言葉すら聞いたことがないので何だか不安になりますよね。
私は住宅メーカーで15年以上現場監督として働いております。
延べ1000棟以上のお家を引き渡してきました。
1級建築士、1級施工管理技士の資格も持っております。
その経験をもとにお話させていただきます。
この記事を読むと
- 地盤改良費用の相場
- 地盤改良工事で追加費用が掛かる土地の特徴
- 地盤改良工事で多いトラブル
が、わかります。
間取りが決まった後に「地盤改良が必要になりました、、、」と聞くパターンもあります。
大幅な間取り変更で打ち合わせをやりなおし、、、。また時間が掛かる、、。ということが無いように前もって費用やトラブル事例を確認しておきましょう。
また、新築の打ち合わせと並行して進めたいのが外構の計画です。
あとから外構の計画をすると余計な費用が掛かることも、、、。
住宅メーカーから紹介された外構業者は仲介手数料が載っているので見積もりが高くなりがちです。
外構業者に知り合いもいないし、選び方がわからない、、、。
外構業者の選び方を知りたい方は【失敗しない外構業者の選び方】後悔しない新築には外構が重要もご覧ください。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要地盤改良工事の種類と費用相場
地盤改良には大きく3種類あります。
- 表層改良
- 柱状改良
- 鋼管杭
地盤の比較的強いところは表層改良、弱い土地は鋼管杭、その中間は柱状改良、ということになります。
私の今まで携わった1000棟近くの経験からすると
地域にもよりますが、地盤改良工事の7割くらいは柱状改良、残り1割5分ぐらいずつで表層改良、鋼管杭というイメージです。
費用は表層改良<柱状改良<鋼管杭、という順番で高くなります。
それでは順番に工事の内容と費用の相場をお伝えします。
費用の相場は2万円から3万円/坪です。
30坪の家で1階の面積が15坪だとすると
30万円〜45万円くらいです。
表層改良は地盤改良が必要な土地の中でも比較的、土質が強い地域で採用されます。
軟弱土の深さがGLー2mまでじゃないと採用出来ません。
軟弱土が深い位置まで続いている場合は採用出来ない工法になります。
GLって何?という方は【深基礎が必要?】外構工事で重要なGL設定の考え方とは?を御覧ください。
施工方法としては
1.重機で家が建つ範囲を掘り下げる
2.セメントと土を混ぜた物を埋め戻す
3.埋め戻した後に重機で締め固める(圧力を掛けて土を強くする)
4.2〜3を繰り返す
というシンプルな工法です。
工期は30坪ほどの家で1日か2日です。
必要な重機は土を掘るためのユンボと転圧するための重機だけなので
狭い土地でも施工可能です。
なんか、簡単な方法過ぎて怖い、、、。せっかく地盤改良するなら柱状改良や鋼管杭にしたいな、、、。
お客様の中にはこういう考えをお持ちの方も多いです。
安心を買う、という意味でその選択肢もアリだと思います。
現場状況によっては大きな重機が入れず、表層改良しか採用出来ないこともありますが、
追加で費用を払って柱状改良に変えるという選択もアリです。
柱状改良と言うと一般的にソイルセメント工法を指すのでそちらで説明させていただきます。
費用の相場は3万円〜5万円/坪くらいです。
先程と同様に30坪の家で1階が15坪だとすると
45万円〜75万円くらいです。
結構、金額に幅があるのね、、、。なんで?
柱状改良は土質によって改良体を埋める深さを設定します。
改良体とはセメントと土で出来た杭のことです。
地盤調査で土質が弱い箇所は8mくらいまで改良体を埋めることもあります。
同じ敷地内でも地盤の強さにはバラツキがあります。
地盤の弱い箇所にはより深く改良体を埋めます。
施工方法としては
1.敷地の土とセメントミルクを混ぜる
2.らせん状の掘削機を用いて1.を柱状にして土中に埋める
3.必要本数を施工後、1週間ほど強度が発現するまで養生する
要は、セメントで作った柱を土の中にいれて家を支える、ということです。
工期は30坪程度の家だと1日か2日ですが、施工後の養生期間が1週間ほど必要です。
セメントで作った柱と地盤の摩擦力によって強度を出します。
あまりにも地盤が弱いと摩擦力も発揮されないので鋼管杭工法が選ばれます。
セメントで出来た杭を硬い地盤に到達させるイメージを持たれる方が多いですが、
実はそうではありません。
杭と地盤との摩擦力で家を支える工法です。
施工するのに必須項目として
- 杭を打つ重機の進入路が必要(幅員2.4m程の道路)
- セメントを積んだトラックの進入路が必要
- セメントミルクを作るための水が必要
- 敷地上空の低い所に電線があると重機が施工出来ない
- 有機質土、腐植土はセメントが固まらないので採用出来ない
ということになります。
特に、土質はしっかりと確認しておくべきです。
いざ施工してもセメントが固まっていない、ということもあります。
費用は5万円〜7万円/坪ぐらいです。
同様に30坪の家で1階が15坪とすると
75万円〜105万円程度です。
けっこう費用掛かってしまうのね、、、。家の坪数を小さくしようかな。。。
ですよね、鋼管杭となると費用が一気に高くなるイメージです。
鋼管杭の施工方法は
1.直径10センチ程度の鋼管杭を杭打機を使って家が建つ範囲に打ち込む
2.支持地盤が深くて1本の杭では届かない場合は杭を途中で継ぐ
3.特に養生期間は不要で翌日から基礎工事が可能
鋼管杭は先程の柱状改良と違って、地盤の支持層に杭を到達させる必要があります。
工期としては30坪から40坪くらいの家であれば1日か2日です。
地盤調査では柱状改良で大丈夫、という敷地でも諸条件によって鋼管杭になる場合もあります。
そうなんです。
よくあるトラブル事例としては
地盤調査でそこまで軟弱地盤ではないとわかったのに、鋼管杭が必要になった〜。費用が結構掛かっちゃう、、、。
ということも起こります。
ここからは地盤改良工事で掛かる追加費用のお話をします。
地盤改良で追加費用が掛かる土地とは?
地盤調査で柱状改良と聞いていたから大体50万円くらいかな、と思っていたらもっと見積もりが上がってる、、、なぜ?
地盤改良工事でも敷地の条件によっては追加で費用がかかる場合があります。
- 地盤改良による残土
- 敷地に高低差があり、杭打機を重機を使って吊らないといけない
- 進入路が狭くて柱状改良の重機が入らない
- 敷地の土が弱くて、重機が沈んでしまう
- 敷地内が有機質土で鋼管杭しか施工できない
順番に説明していきます。
柱状改良に関しては、土を掘り返すので残土が発生します。
(表層改良も掘り返しますが、転圧するので発生しても微々たる残土です)
残土って何?というかたは【残土処分費の相場】 残土を安くする方法を1級建築士が徹底解説をご覧ください。
要は、掘り返した土を処分する費用が掛かります。
住宅メーカーや工務店によっては残土も含んだ地盤改良費の見積もりを出していることもあります。
残土の費用を後から見積もり計上する会社もあるので要注意です。
事前に確認しておきましょう。
掘り返した土を敷地内にまいたらいいんじゃないの?
余分な費用を払いたくない、、、。
そう言われることも多いです。
結論から言うと
セメント混じりの残土になるので処分しましょう。
地盤改良時の残土はセメントと土を混合してます。
あまりキレイな土ではないですし、周りにまいてもキレイに整地出来ません。
また、植栽などを植えても枯れてしまいます。
残土は掛かる費用だと思って受け入れましょう。
30坪程度の家だと柱状改良による残土はおよそ10㎥ないくらい。
地域にもよりますが7万円〜9万円くらいです。
残土についてもっと詳しく知りたい方は【残土処分費の相場】 残土を安くする方法を1級建築士が徹底解説もご覧ください。
敷地に高低差があると重機を敷地の高い位置に移動出来ません。
その場合は25t程の大きいクレーンで地盤改良の重機を吊り上げます。
費用としては地域によりますが8万円程度です。
敷地の高低差で重機費用が掛かることを知らない営業担当もいます。
注意しましょう。
あとから、追加で見積もりが上がってくることもあるかもしれません。
およその目安として、道路から1mを超えるような高低差があると
費用が発生すると考えておきましょう。
また、それ以外にも敷地に高低差があると気をつけないことがたくさんあります、【深基礎のデメリットとは?】外構でトラブルを避ける方法を1級建築士が徹底解説もご覧ください。
敷地の高低差があると必ず出てくるワード「深基礎」についても詳しく解説しております。
こちらも考慮する必要があるのは柱状改良の場合です。
地盤調査では柱状改良って聞いていたのに、やっぱり鋼管杭になりましたって言われた。。。
これは進入路が狭くて柱状改良の重機が入らないケースで起こります。
進入路がおよそ2.4mより狭くなると重機の侵入が難しくなります。
鋼管杭の重機はそれよりも小さい(およそ2.0m程)ので施工可能です。
地盤の土質としては柱状改良なのに、進入路が狭くて鋼管杭になる現場もあります。
費用が多く掛かってしまうことがあるので覚悟しておきましょう
これは柱状改良、鋼管杭の場合に起こる内容です。
重機を乗りいれようとしても、表面の土が軟弱すぎて重機が傾く、、、。
無理やり施工すると重機が傾いて転倒してしまうことも、、、。
こうなると大惨事になります。
やっかいなのが、この追加費用は施工直前じゃないと判明しないことが多いです。
- 解体が終わってみたら表層の土が弱かった
- 着工前が悪天候続きで土地の表層が弱くなってしまった
- 地盤調査でそこまで判断しきれなかった
など、理由は様々ですが前もって見積もりに入っていないことも多い内容です。
トラブルになることが多いです。
この場合どうするかと言うと、表層の土を固くするためにセメントを着工の数日前に土に混ぜます。
重機を使用しての作業なので10万円近く掛かります。
工事開始の直前に言われても納得出来ない、、、。
当然、そうなりますよね。
住宅メーカーにその可能性がないのかどうか確認しておきましょう。
地盤調査をしてもらう時に地盤の強度だけでなく、土質も調べておいてもらいましょう。
有機質土、火山灰土などは柱状改良のセメントと相性が悪く、セメントが硬化しません。
柱状改良の施工後、1週間経って現場に確認に行っても改良体が硬化してないことがありました。
安心できる業者であれば、施工後に硬化の確認を行って報告をくれますが、
そのまま次の基礎工事に入ってしまう業者もいるかもしれません。
事前に、土質に関しても調査してもらい、有機質土などのソイルセメント工事に適さない土質の場合は鋼管杭を採用しましょう。
地盤改良で追加の費用が掛かるかもしれない項目はわかった気がする。
その他に気を付けておかないといけないことってあるの?
地盤改良は土の中を掘る工事です。
目に見えない箇所を施工するのでトラブルもあります。
地盤改良のトラブル事例を確認して計画が変更出来るのであれば早めに対応しましょう。
地盤改良工事の前に確認しておく重要事項
いざ、自分の家が地盤改良工事が必要となった際に何に注意したらいいのかをお伝えします。
・エコキュートや玄関ポーチは沈下しない対策がされてる?
・擁壁(ようへき)などの造成工事の仕様を確認
・柱状改良に井戸水を使っていないか
・工事の手配(水道、電線の移動)はしっかりされているか
・敷地内の地面の高さが低すぎないか
トラブルが多いのはこれです。
地盤改良で建物は沈下しないように補強したけど、つい忘れがちな箇所
- エコキュートが載る架台
- 玄関のポーチ
- 勝手口
- ウッドデッキの土間コンクリート
要は、建物以外でコンクリート工事をする場所です。
これらの箇所も沈下しないように対策が必要ですが、住宅会社によっては忘れていることもあります。
建物は沈下しなくても、玄関が沈下したら基礎と玄関ポーチに隙間が出来て水が溜まる、虫が入る、などの被害に繋がります。
対策としては
・基礎のコンクリートとエコキュートの架台を連結する
・鉄筋を挿して補強する
・当該箇所にも杭を施工する
施工してしまった後ではどうすることも出来ないので、事前に該当位置に杭、改良体があるかを確認しておきましょう。
擁壁(ようへき)工事というのは敷地に高低差がある場合に土が隣地にこぼれないようにする為の工事です。
擁壁の形は数種類あります。
- L型擁壁
- 逆T型擁壁
- 重力擁壁 など
注意しないといけないのは、敷地境界のギリギリに杭を打つ場合です。
杭を打っていくと擁壁の底盤を砕いてしまった、、、という事例もあります。
擁壁の底盤とは、擁壁が倒れてしまわないようにするための重要な箇所です
擁壁に近い場所に杭を施工することで、この底盤を壊してしまうことがあります。
それにより、擁壁の持つ土留めとしての機能を果たさなくなります。
擁壁の種類、どこまで底盤が敷地内に入っているかを確認しておきましょう。
経験の浅い現場担当者だと見落としている可能性もあります。
柱状改良の代表的な施工方法のソイルセメント工事には水が必要です。
水とセメントを混ぜる為です。
使用する水は水道水を使いましょう。井戸水などは成分が不明で硬化しないこともあります。
実家の隣に家を建てる、という場合に多い事例です。
実家では古くから井戸水を使用しており、それを地盤改良工事の時に使ってしまった、という例。
井戸水が出る地域というのは地下水位が高く、地盤改良が必要なことも多いので尚更です。
井戸水しか利用してない地域はどうしたらいいの?
その時は、給水車というのを手配します。
この費用というのはお客様に負担していただくことが多く、およそ5万円くらいです。
また、建築場所によっては地盤改良工事の前に水道の引き込み工事が終わらないことがあります。
この場合、近隣のお家から水を借りることがあります。
親切で貸してくれた水が井戸水でセメントが硬化しなかった、、、ということも。
工事開始前に、水道水がしっかり出るかを確認しておくようにしましょう。
先程の水道の手配に加えて、電気も確認が必要です。
これは、地盤改良工事で電気を使用する、というわけではなく、敷地上空に電線があると
杭打機が電線にあたり、施工が出来ない為です。
そんなこと、施主である私たちが気にしないといけないの、、、?
お客様が気にするべき箇所ではないです。
ただ、知っておいたほうがいいと思います。
経験の少ない現場担当者だと電線を見落としていることも十分あり得ます。
電線の移設には時間が掛かりますので余裕をもった段取りが必要。
万が一、施工の当日に電線が上空に通っていることが発覚した場合は
構造計算のうえ、杭の打つ場所を変更することもございます。
当初と違う位置に杭を打つなんて不安。そんな短時間で構造計算して大丈夫?
なんとなく不安ですよね。
こういったことが無いように現場担当者に電気の配線もしっかりと確認が必要です。
柱状改良工事の際に注意が必要です。
柱状改良はドロドロのセメントミルクと土を混ぜて柱を作ります。
敷地内の土が低すぎると、改良体の頭の部分(地表面付近)まで杭が成形出来ません。
この場合、杭周囲の土を盛って何とか杭頭が成形出来るようにすることがあります。
ただし、いつもと違う方法なのであまりキレイに柱頭が仕上がらないことも、、、。
解体した場所に家を建てる場合は、解体によって想定より土が少なくなっていることが多いので注意が必要です。
地盤改良工事の前に考えること
地盤改良工事って注意することが多いですよね、、、。
地盤改良の計画段階、工事開始前にトラブルが起きないか確認しておく必要があります。
忘れてはいけないのは工事後のことです。
何も考えずに、地盤改良で出た残土を周りにまいてしまって、植木を枯らしてしまうこともあります。
高低差のある土地で、地盤改良の重機を吊り上げるのに追加費用が掛かったけど、結局外構でスロープを作ったので最初から先行で外構に入っとけば費用が安くて済んだ、、、。
ということもあります。
他にも、
地面の表層土が柔らかくて地盤改良工事の前にセメントを土に混ぜたけど、結局は外構で砂利を撒いて転圧した。最初から砂利と転圧だけでよかったのでは?と思いますよね。
結局、早い段階で外構計画も決めておくことが重要です。
住宅メーカーの担当者からは外構はあとからでも大丈夫、って聞いたけど。
建物の計画、打ち合わせが終わってから外構計画を決めていたら家づくりで後悔することが増えるかも、、、。
・水道配管が邪魔でウッドデッキが設置出来ない
・インターホンを門柱に設置したかったけど、配線を計画してなかった
・カーポートをつけたかったけどスペースを確保してなかった
家の間取りや配置などの計画と外構の計画って関係が深いんです。
外構は家の計画と並行して考えましょう。
そう言われても、外構業者の選び方がわからない、、、。
住宅メーカーから紹介された外構業者は仲介手数料が載るから見積もりが高くて、、、。
外構業者の選び方がわからない、という方は【失敗しない外構業者の選び方】後悔しない新築には外構が重要を御覧ください。
初心者でもわかりやすいように外構業者の選び方を徹底解説しております。
【失敗しない外構業者の探し方】後悔しない新築には早めの外構計画が重要家づくりは考えることがいっぱいあります。
その中でも見落としがちなのが外構です。
地盤改良工事のことを調べたあなたは間違いなく成功する家づくりに近づいています。
外構に関しても目を向けてみましょう。
それでは後悔のない家造りを!